その他試験各種

簡易貫入試験

概要

正式には『簡易動的コーン貫入試験』といい、簡易動的コーン貫入試験機を用いて原位置における地盤の貫入抵抗を求め、簡易な支持力判定に用います。

適用

自然斜面、盛土法面、切土法面表層部、小規模建築物基礎地盤など地盤表層部(貫入抵抗の大きい硬質粘性土や砂礫地盤などは不可)

簡易貫入試験方法(JGS1433より抜粋)

試験実施前に、試験装置に不具合がないことを確認し、ロッドの先端にコーンを取り付け、上部にアンビル、ガイド用ロッド及びハンマーを取り付ける。
ハンマーが自由落下するように、試験機を調査地点上に鉛直に保持する。ハンマーをアンビルの上にのせ、試験機を鉛直に保持した状態で、ロッドが地中に自重沈下するかを確かめ、自重で貫入する場合は、貫入が止まった時の貫入長さを記録する。
ハンマーを500±10mmの高さから自由落下させ、100mm貫入させるのに要する打撃回数をNd値として記録する。
(※10回の打撃による貫入量が20mm未満の場合は試験を中止する。)
ロッドの上部が地表面近くに達したら、一旦アンビル、ガイド用ロッド及びハンマーを取り外し、新たなロッドを継ぎ足した後、試験を継続する。
(※貫入長さが大きくなると、ロッドの周面摩擦が大きくなるので、注意する必要がある。)

簡易貫入試験の結果の整理(JGS1433より抜粋)

100mmごとの打撃回数Nd値と貫入長さの関係を整理する。
地盤が軟弱な場合、1回の打撃または何回目かの打撃で100mm以上貫入する場合がある。その場合には、打撃回数Nに対応した貫入量⊿h(mm)により、Nd値を次式から求める。 Nd=100×(N/⊿h)
自重沈下があった場合、その貫入長を記録する。なお自重沈下の場合はNd=0とする。
調査箇所の土質の種類や硬軟等から換算N値を算出する。

各種物理探査

概要

弾性波探査、高密度表面波探査、弾性波トモグラフィ、電気探査等により地盤調査を行います。

適用

弾性波探査による地盤のP波速度構造の推定
表面波探査による地盤のS波速度構造の推定
電気探査による地盤の比抵抗構造の推定

探査手法紹介

屈折法と反射法とがあり、地表付近での発破等によって人工的に弾性波(実体波としてP波・S波)を発生・伝播させ、地下の速度や密度の異なる地層境界面で屈折・反射して戻ってきた波を地表に設置した計測装置で観測し、その到達時間とその他の情報を用いて地下の速度構造を求める探査法です。
多層構造の地表面を伝わる表面波(レイリー波)は、その波長(周波数)によって伝播速度が変化します。通常、地盤は深度とともに弾性波速度が増加するため、表面波の短い波長、すなわち浅い深度では伝播速度が遅く、波長が長くなる(深度が深くなる)にしたがい伝播速度が速くなります。波長(周波数)による伝播速度の違い(分散性)を逆解析する事により、不均質な地盤のS波速度構造を求めます。 多数の受振器を用いてS波速度構造を連続した断面として表現します。
医学分野で用いられているX線CTの手法を地盤・岩盤の弾性波探査(特にボーリング孔―孔間、地表―ボーリング孔間、調査横坑―坑間)に応用し、より詳細な弾性波速度分布断面を求める探査法です。調査対象領域を取り囲むように計測を行い、対象領域を通過してきた弾性波の初動走時の情報を用いて、領域内の速度分布を逆解析(インバージョン)手法により求めるものです。
地盤の電気的性質を比抵抗法で計測する事により、地盤状況を把握する手法です。比抵抗法とは、地表に設置した一対の電流電極から電流(I)を流し、別の一対の電位電極間の電位差(V)を計測する事によって、各電極の位置或いは間隔における見掛比抵抗値(ρa)を求め、その値の解析から地下の比抵抗構造を推定する方法をいいます。岩石や地層の比抵抗はその構成鉱物の種類、乾湿の状態、風化・変質の状態、温度等によって支配されます。

探査成果例

高密度表面波探査による地盤のS波速度構造の成果例です。
トンネル切羽を起振点、地表を受振点とした弾性波トモグラフィの成果例です。
電気探査による地盤の比抵抗構造の成果例です。

各種物理検層

概要

速度検層、磁気検層、ボアホールレーダ探査、ボアホールカメラ等による各種検層により地盤調査や杭の根入れ調査を行います。

適用

速度検層による地盤調査、磁気検層やボアホールレーダ探査による杭の根入れ調査、ボアホールカメラによる孔内観察

手法紹介

速度検層
ダウンホールPS検層 (板叩き法)は、地表面を起振した時に生じる波動(P波・S波)をボーリング孔内任意の深度に設置した受振器(上下方向1成分,水平方向2成分)で観測します。その波の伝播時間と伝播距離の関係から、弾性波速度(P波速度・S波速度)値を算出して地盤の速度分布を調べます。サスペンションPS検層は、孔内の受振器を孔壁に圧着することなく吊り下げた状態で孔軸方向に伝搬するP波・S波を計測します。ゾンデに内蔵された電磁ハンマーが孔軸に対して直交方向に振動板を打撃し、孔内水を介して孔壁に間接的に振動を与える起振方法です。
ボアホールレーダ
地中レーダ探査のアンテナをボーリング孔内用に改良したもので、ゾンデを挿入して電磁波を放射し、杭などからの反射波を計測する事により根入れ深度などを二次元の断面図で表す事の出来る探査法です。計測対象物は鋼矢板、鋼管杭、PC杭、場所打ち杭などに有効です。松杭の場合は地盤状況により可能です。
磁気検層
地中の強磁性体は地球磁場により磁化しており、このため周囲に磁場の乱れを生じさせます。磁気検層はこの磁場の乱れ(磁気異常)を計測して地中の強磁性体の分布を推定する方法です。ゾンデには上部と下部の二箇所に磁気検知コイルが内蔵されており、内蔵コイルが検知した磁気強度変化を電気信号に変換して計測器本体に記録しています。波形のピーク値などから杭の根入れ深度等を把握する事が出来ます。
ボアホールカメラ

センタライザー付プローブに小型CCDカメラが内蔵されており、ボーリング孔壁の状況を連続撮影します。ボーリング孔内に現れた節理や亀裂等の不連続面をコンピュータ上で360°展開画像として表示し、任意のサインカーブをフィッティングさせることで走向・傾斜を読み取ります。これらの不連続面は層理面、亀裂,破砕帯などに分類し、亀裂についてはその開口度合いによってもさらに細分類できます。分類ごとにシュミットネットに表示し、それぞれの卓越傾斜方向、角度を抽出します。